黄昏デザイン研究所

マヌー メイアン
系統 : Hybrid Tea
花色 : ローズピンク
花形 : 八重
花径 : 11cm
樹高 : 1m
芳香 : 微
花期 : 四季
作出 : 1979年
フランス
8号駄温西向き
有名で育てやすいバラです。
ゆうぜん 2010年 日本    HT ハイブリッドティ
花色  濃いピンク
花形  ロゼット咲き
花径  中輪
芳香  強香   
香質  ティーにダマスク
開花  四季咲き 
8号駄温西向き
ピンクが好きな方にはお薦めです。育てるのは難しくはないです。

読書メーター


2021年6月10日


1、バルチックの空 (1957年) (世界航空文学全集〈第2巻〉) 1957/1/1
 ニコライ・チュコフスキー (著), 岩上 順一 (翻訳) 

 第二次世界大戦ソビエト航空戦を描いた小説ですが、同時代の軍人が書いたため 極めてリアルです。特に故障したイー16が不時着し、助けてくれた子供が目の前で 敵機の爆撃で殺されてしまうシーンなどとても想像では書けないように思います。
恐らく著者であるパイロットが対独ロシア防衛戦争の際、戦闘機を操縦中にエンジンが不調となります。原因は分かっており、着陸して釘のようなものでエンジンのどこかをいじれば治ることは確実です。適当な場所に着陸し、近寄ってきた子供二人に古釘を探してくるように頼みます。子供たちは古釘を探してきてエンジンは直りましたが、離陸するのに充分な直線が無く、高度をとれずに正面にある家の屋根に戦闘機がぶつかりそうになると思われるため、幾度も幾度も歩いて距離を測りますが、うまく離陸できるかどうか自信が持てずに悩みます。そのうちに地上に戦闘機が止まっているのを見つけたドイツの爆撃機が攻撃を仕掛けてきます。著者は近くの窪みに逃げますが、至近距離に爆弾が着弾します。運よく無傷であった戦闘機と著者は近くで倒れている二人の釘を拾ってきてくれた子供を見つけますが、二人とも死んでいました。すぐに著者はためらわずに離陸します。その時何の不安も感じなかったそうです。戦闘機には弾は残っておらず、更にドイツの爆撃機には追い付けませんでした。ただそれだけの話ですが、いつのまにかソビエトを応援する気持ちになりました。


2.ラーゲルの欲情
著者 和田義雄; 出版社 彩光新社; 刊行年 昭和33年

 昭和28年にソビエト抑留から復員した人の手記です。通常はシベリア抑留者の記録は悲惨な思い出しかないのですが、この本の著者は抑留中の恋愛記録を豊かに述べています、特に深く思いあったロシアの女性を忘れがたく、帰国後も日本で再会した妻に対して忸怩たる思いを抱いているという不思議な様子です。また、共産主義思想についてはほとんど影響を受けていない様です。シベリア帰還者が全て悲惨な経験者ばかりでないということを確認するだけでも読む価値はあります。巻末の出版社の宣伝も煽情的な書名が並びますが、この本は真面目なものです。

3、定本愛国百人一首

『愛国百人一首』とは、戦時下、日本文学報国会が、情報局と大政翼賛会後援、毎日新聞社協力により編んだもので、昭和17年11月20日、東京市内発行の各新聞紙上で発表された。
 選定委員は佐佐木信綱、斎藤茂吉、太田水穂、尾上柴舟、窪田空穂、折口信夫、吉植庄亮、川田順、斎藤瀏、土屋文明、松村英一の11氏。選定顧問に委嘱された15名には川面情報局第五部長など政府、翼賛会、軍関係者に交じり徳富蘇峰、辻善之助、平泉澄、久松潜一が名を連ねる。
 選考は、毎日新聞社が全国から募集した推薦歌と、日本文学報国会短歌部会の幹事、選定委員の数氏より提出された推薦歌の中から前後7回にわたって厳選したという。選ばれた歌は、「愛国」ということばを広義に解釈して、国土礼讃、人倫、季節などの歌も加え、万葉集より明治元年以前に物故した人に限った(以上、『定本愛国百人一首解説』凡例)。

 太平洋戦争酣の頃、文学報国会によって編まれた日本人としての戦の心構えを称えた和歌集です。今となっては数々の批判にさらされ見る影もありませんが、当時の選者達は同時代の大事件の渦中にいたことを忘れてはなりません。和歌の主流である古今新古今よりも、衰退期に入った江戸期に選歌が偏っていることが大きな特徴で、それが独特な緊張感を醸し出しています。万葉集の叙事詩的なおおどかさに比べ、教条的で稚拙な幕末の和歌が悲しさを掻き立てて、滅びゆく国への挽歌ともいえる美しさを醸し出している歌集といえます。

4、万軍 斎藤茂吉歌集
 岩波書店

 茂吉は太平洋戦争末期に戦争歌集『萬軍』を自ら編んだ.しかし敗戦によって出版は取りやめ,原稿は門弟佐藤佐太郎の厳重な保管下に入ったが,いつしか出所不明の謄写版本や刊本が出回るようになった.茂吉生誕130年の今年,茂吉と戦争の問題に向き合うために,茂吉―佐藤佐太郎―著者へと伝わった自筆原稿の全容を明らかにする.

このほど、茂吉がこの歌を詠んだ年齢と等しくなり、あらためて再読してみると、勇ましい叫びよりも、斃れていくいく若者への挽歌ともいえる心持が惻々として感じられます。 詠歌は、220首余り、太平洋戦争の進捗に準拠して、ハワイ・マレー沖戦より沖縄戦まで亘っています。 最後の歌は、沖縄戦のすぐ後にあります。 薄るもの むかえむとするいきおひは 大土(おおつち)のごと 時にしづけし もはやことばで表し切れない状況なのだと思いました。他の歌も時世に迎合するものではなく、こころよりの真実だと信じたいです。

5、山風蠱
出版社 : 構造社 (1974/1/1)
発売日 : 1974/1/1
青砥 一二郎

珍しいタイトルから気を惹かれて手にしたのです。内容は、作家本人の占いに関する解説と自分の夫婦生活が崩壊してゆく様を私小説(作家本人の生活ドキュメンタリー)風に綴ってありますが、もし真実であるとすれば、妻にとってはとんでもなく過酷な事実の開示となり、現在では到底許されるものではありません。  易占いについては、作家の占いが正しく当たっていく様をかなり専門的に説明してあります。易については、専門的すぎて、私小説としては、どうにも救いの無い内容で古今の名作としては残らなかったようです。

6.断種法; 著者: 藤本直 著; 出版者: 岩波書店; 出版年月日: 1941; シリーズ名: 京城帝国大学法学会叢刊



著者の言うには、日本人の国家意識は、家族主義的であり、血統を重んじ民族的健全を欲すること、それは、仏教の生命観に淵源を持ち個人の生命が絶対のものであるとするものではない、ゆえに断種法を拒否することは無い。
 また、植物や動物に対して、厳然たる優生学的な選別を現在でも行っていることからして、人間のみが別格の存在であることは無いと思われる。

 著者は、医学の専門家でない為、門外漢にも分かりやすい。また、現在の人類平等至上主義者でないため新鮮な感さえある。 

 本筋から離れるが、差別語の言葉狩りが行われない以前の日本語がいかに雄弁的確であったのかを再認識するだけでも読む価値はあると思う。

 但し、ここでは実例を挙げることは控える。