黄昏デザイン研究所

テディベア
Teddy Bear
Min (Miniature)1989
オレンジブラウン。
房状花つき花もちが良い四季咲き。花径:4cm。樹形:半横張り性 微香性
2階45pプランターに2株並列南向き。黒点病に弱いです。
日本歌學大系 第一卷
国会図書館https://www.ndl.go.jp/のサイトから見ることが可能です。

宮崎市定『九品官人法の研究』(中公文庫)

九品和歌


2022年6月2日
 平安時代の大歌人藤原公任の著した和歌の等級付けです。うまいのからだめなのまで9段階に分けております。

・上品上 是は詞たへにして餘りの心さへあるなり。
 ほのぼのとあかしの浦の朝霧に島がくれ行く船をしぞ思ふ

・下品下 詞とゞこほりてをかしき所なきなり。
 世の中を浮きたびごとに身をなげば一日に千度我や死にせむ
 
最高のと最低の和歌を例示しました。さすがに下品下はひどすぎるのは分かります。

上品上については、良さそうなことは分かりますが、最高ランクの和歌かどうかまでは判然と致しません。私が和歌の鑑賞能力に乏しいためでしょう。いくら岡目八目とは言っても、それはある程度の知識実力があっての上のことで、それで現状分析が作者よりも的確にできるということなのでしょう。

 話が変わりますが社会階級も9段階に分ける場合が多いです。

 いわゆる上流階級とか下層階級とかいうものですが、話題になる割には適当な指南書がありません。これは、階級を分ける基準を決める人が中流の上であるため、上流の上のことがよく見えてこないためではないかと、九品和歌の事例から推察いたします。
 下層の下はフィールドワークで研究することができますが、上になるほど自分との懸隔が大きくなりよく見えなくなるのです。
 社会階級の構成は底辺が広いピラミッド型になると思われますが、実は上が急にとがるような形(上流階級が急に少なくなる)かなと想像しております。

 その点和歌も同じで、最低の和歌はやっと読み書きできる人が書いた殴り書きのようなものでしょう(でも下の下の歌も古今集から採られているようなので、もっとひどいのも沢山あったのでしょうね)。また、史上最高峰の和歌は日本の全歴史の中でもごくわずかと思います。

 この、全く異なる分野の事象が似た形の分布を見せるというのは興味深いことですが、分野が異なるため研究テーマには向きません。しかし、どちらも人間の社会的営為の結果であるので、底に流れる何か共通な法則があるものと考えざるを得ません。
 
 これからは更に牽強付会トンデモ理論になります。和歌は衰退しております。最近一瞬の輝きを見せたのは昭和万葉集の昭和19・20年の巻のように思います。(全部私見で根拠がないのでいちいち断りません)とするともしかすると社会階級も衰退するかもしれません。

 九品と階級とくれば九品官人法を言わないわけにはいきません。これには宮崎一定の名著が中公文庫から出ています。大きな組織に雇用される方は必ず目を通してください。
 
早い話が、入社した時に最後の到達点がほぼ決まるということです。残念ながら否定できないところがあります。若い人たちが、不安定な職についても夢にかけるのは、本能的に社会の仕組みを察知しているからかもしれません。