黄昏デザイン研究所




秋バラ アウグスタ・ルイーゼ

ハイブリッド・ティ
大輪/強香/四季咲き/心地よいフルーツ香を持ちます。


秋バラ シャンテローゼ・ミサト

深い緑の葉にグラデーションがかったピンクの花がよく映え、直立性ですっきりとした株立ち。病気にも強く育てやすいのが特長です。また、スパイシーな香りは、第7回ぎふ国際ローズコンテストベストフレグランス賞を受賞しています。花名は“バラ色の歌ミサト”の意で、歌手の渡辺美里さんに捧げられたバラ。

文政十三年曽根組御用留帳


2022年6月2日


 「文政十三年曽根組御用留帳」の解読と解説
 標題の書籍を新潟の知人が送ってくれました。

 曽根とは、JR東日本越後線の越後曽根駅の近辺の地名です。新潟県の日本海寄り新潟市の南西の方角にある日本有数の穀倉地帯です。私は、以前10年ほど田植えの手伝いに通い、一面の田んぼの中、月は東に日は西にの景色、広やかに渡る風の香りを感じました。トトロの世界に舞い込んだような気持ちでした。

 御用留帳とは、江戸時代の行政文書であって、徴税から裁判等当時の幕藩体制の施策を克明に記録した資料です。当時の農民の経済状況から藩政の様子までが、庄屋により控えられたことによって、極めて貴重な情報を知ることができますが、原典を直接読むことは、独特な語彙による古文を当時の書体で読む、いわゆる古文書解読の技術が必要となって、専門の歴史学を治めている人でない限り、簡単に近づくことはできません。

 この書籍は、その難しい道程を地元の人たちが集まって専門家の指導を受けながら古文書解読に挑戦した記録です。

 私達は歴史というものを為政者の側から見るように教えられており、幕藩体制の江戸時代と天皇制の明治時代は決定的な違いがあるように思っています。また、太平洋戦争に負けて民主国家として出発した戦後日本は、戦前とは異なる新しい体制になったと信じて疑いません。

 私の住まいは、東京の新宿区大久保です。大正までは畑だった土地に自宅が建っていて、当時は周りは一面の田畑であった大久保村でした。現在ここには、昔の農民の子孫はほとんどいません。田畑もありませんし、風の香りもありません。私は根なし草なのです。

 しかし、越後曽根の人達は違います、幾百年も前から営々と働いて、戦争や飢饉を乗り越えて田畑を守り増やして、食べるものを作り続けてきました。ですから、文政年間(約200年前)も令和の時代も皆住んでる人は過去と繋がっています。先祖は土の下に眠り、子孫はその上を耕します。藩も県も国もありません。人々の生活があるだけです。
 
 この本を読んだ一番の発見は、著作者たちが二百年前の農民達を自分たちと繋がる血縁者として考えて、当時の人達のプライバシーまで気にかけて編集されていることです。

 専門の歴史家にある冷たい目ではありません。
 
 良寛さんがお亡くなりになってから二百年くらいでしょうか、その住まわれていた出雲崎という所は、この曽根とはごく近いところです。おそらく良寛さんも今でも人々の中に生きているのでしょう。その人を忘れてしまわない限り死はありません。遠野物語の世界を再認識いたしました。

 都会生活を三代も続けて江戸っ子などと粋がっていても、デラシネ(根なし草)だったという現実に気づかされたことはともかく、血の通った歴史書として高く評価したく思います。

 この書籍を読みたい方は、国会図書館、新潟県立図書館、新潟市図書館、巻郷土資料館などに閲覧可能か否かを確認後連絡願います。

 購入したい方は、まだ定価や販路など決まっていませんので、下記メールアドレス、または適当な方法で、私まで連絡願います。
 k.kumazawakenzi@gmail.com

A4版166頁、CD付(参考写真及び原典写真)
著者 加藤一彦、本宮京子、伊藤和江、田村正司、大橋三郎、本間新一
監修 亀井功